表慶館 (1908(1909開館))
設計:片山東熊、他


日本初の恒久的な美術館
宮廷建築家、片山東熊が赤坂離宮の前年に竣工させた



いま手元にこの建物に関する資料が殆どない。 1900年(明治33年)に大正天皇の婚約を祝って、 日本初の恒久的な美術館を作ろうという事になったらしい。 それで実際に出来たのが1908年だという。 彼は1894年に 旧・帝室奈良博物館 を、1895年に 京都国立博物館 を竣工させているから、 宮廷建築を作るための様式の実地経験は充分に積んでいた筈だ。 1909年には東熊の赤坂離宮も竣工しているから、表慶館の設計は離宮の仕事の傍ら行われたのだろう。 この表慶館は美術館とはいえ、天皇にちなんだ宮廷建築的な華やいだ雰囲気が感じられる。 辰野金吾+長野宇平治によるいかめしい 日銀大阪支店 (1903)と比べれば、その雰囲気の差は歴然である。  



 
   
 



  端正なオーダー、ピラスターの構成で、正面はファサード+ドームの構成、 これはフランス古典主義に近いのではないか。 彫刻の使用もフランス風の柔らかい印象を放つ。 こういう華やいだ雰囲気のモデルとなる洋館があったかどうか分からないが、 ごくごく印象的に言って、京都国立博物館と共通する雰囲気を感じる。 つまりデザインに片山東熊らしさがあるといえよう。 正面1Fの柱が四角くて2Fがイオニア式なのは、 2Fがピアノ・ノビレつまり正式階である事と関係している。 1Fと2Fに差をつけるのは様式建築に非常に一般的だ。 正面両側のライオンが狛犬よろしく阿吽なのがご愛敬である。



  色が白くて清純だし、華やいで回りの木々や花と大変合っている。 とても親しみやすい建物だ。 名手と呼ばれた片山が天皇ご成婚をイメージして、親しみのある建物を作ったのだと思う。 片山の作品は少ないから非常に貴重な建物だ。 内部は閉館中だったから見ていない。 「内部は外観と比べると内部は質素だが装飾は丹念に作られている」と書いたネット記事があったが、 どのくらい丹念か不明である。





掲載誌: 
所在地:東京都台東区上野公園
行き方:東京国立博物館正面左にある
ここでの分類:戦前様式
訪問年月日:03/02/28
参考: 
その他情報: 




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