D-HOTEL大阪 (1989)
設計:アモルフ


ゆるやかな曲率でカーブする打ち放しの壁
都市生活者の為の生活するホテル



このホテルは、ファサードというか前面のカーブする壁があって、奥行きが非常に狭い。 写真で見ると、この打ち放し壁のカーブが、何か強い意味性とか雰囲気を帯びているように思えて、 見るのを楽しみにして行ったのであった。 しかし実物は思っていたより幅が狭かった。 正面の横幅があと1.5倍あったら、存在感が全然違っていたと思う。 実物は少し中途半端に見えた。  



このホテルのコンセプトとしては、都市生活者の隠れ家という事を挙げているらしい。 発表雑誌記事はちゃんと読んでいないが、この記事を書いた当時、 http://stay.mapoo.or.jp/ というHPによれば D-HOTELは 「‥‥隠れ家としてのホテルをコンセプトする、‥‥全室に超音波ジェットバス、 オーディオコンポ、有線、衛星放送の設備あり、 大型テレビで見たい時にお好きな映画をご覧いただけます(無料)。」とあった。 かなり重装備である。  



 
   
 



  ある種の都市生活とか都市性というものを全体のテーマとしているのは、 ファサードの壁によく現れている。 しかし周囲の猥雑さから完全に切れているこの壁の存在意味はなんだろう?  都市生活って、そもそも猥雑なものではないのか。 逆に言って、アモルフ(竹山聖)が思い描く都市性というものがどれだけ純粋性を持ったものなのか、 それがこの壁に現れている気がする (まぁアモルフの作風を色々と見ておかないと何とも言えないけど)。



  各室の設備が良いとかファサードといったこと以外に、建築的にどんな工夫がしてあったのか、 中も是非見学したいところであった。 例えば窓が少ないから、居住性をどうカバーしているのか、とか知りたかった。 その為に実は泊まれるかどうか事前に問い合わせたのだ。 そうしたらびっくり、ラブホに変わっていた。 ここに挙げた写真にもラブホの垂れ幕がかかっているし、 ファサード左側の亀裂の下側に、 いかにもラブホチックな(?)ゲートが据え付けられている。 この辺りは確かにラブホが多いから、そういう地帯になっちゃっていて、 普通のホテルがやりにくかったのかもしれない。 しかもこのホテルは宿泊料がシングル10,000円以上と高かったし、 この不況下では、いくら「付加価値が高いです」といってもお客が付かなかったのだろう。





掲載誌:新8903
所在地:大阪府大阪市中央区道頓堀2丁目5-15
行き方:地下鉄「なんば」駅の西北、西道頓堀川にかかる大黒橋の南側を西にすぐ
ここでの分類:現代
訪問年月日:03/01/25
参考:『現代建築の軌跡』新建築1995年12月臨時増刊、新建築社
その他情報:M阪68、06-212-2995




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