旧倉敷市庁舎 (@@@)
設計:丹下健三


コルビュジャン丹下健三が作った、かなり重厚感のあるコンクリート建築



この建物は現在は市庁舎ではなく美術館である。 1983年に浦辺設計が改装している(日840130)。 しかし建物そのものは、丹下が作った時そのままなので、ここでは丹下作品として解説する。 丹下は、和風について独自に追求した香川県庁舎(新5901)を作っているが、 この建物はそういう意識ではなく、コルビュジェ的スタイルがよく出ていると思う。 外観は重厚でかつコル的なファサード。 1Fは完全なピロティにこそ出来なかったが、それでも柱が外周を囲む。 そして1Fホール壁面の装飾がまた重厚であり、かつモダニスト的である。 歴史的に見ると、モダニストは過去の様式建築の歴史的重さに対抗しようとして、 コンクリートを使って様式に代わる「美」を見つけだそうとした。 この壁はそういう新しいコンクリート独自の美や構成を主張している。 『現代建築の軌跡(新建築社)』によれば、 この庁舎は丹下作品にしてはホール空間の求心性が強いという。  



 
   
 



  このホールの2Fは今は美術館のロビーだったりして、 1Fと2F全体で見たときに何となく間のびしている。 しかし市庁舎だった時は、2Fに上ると事務スペースが見えていたのではないか。 そういう活動の緊張感が2Fの両側を挟んでいたとすると、 この階段はなかなかドラマチックである。 天井の梁が横長方向で統一されているのは、やはり方向性の意識があったからであろう。 でも何か、この重厚な空間にしては細い感じがした。 たかが天井の梁の話ではあるが、 もうちょっと構成感が出せた気がするのだが、いかがだろうか。





掲載誌:新6009
所在地:岡山県倉敷市中央2-6-1
行き方:倉敷美観地区の西のはずれ
ここでの分類:モダニズム
訪問年月日:02/10/3
参考:『現代建築の軌跡』新建築1995年12月臨時増刊、新建築社
その他情報:@@@




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