倉敷国際ホテル (1963)
設計:浦辺設計、浦辺鎮太郎


暖かさを忘れなかった戦後近代建築



このホテルは、硬質モダニズムのインダストリー感覚ではなく、 手作り的あるいはクラフト的なイメージを発しているといわれる。 近くで見るとアクセントの平瓦に趣がある。 中のロビーも含めると民芸的といえる。 出来た時はオリジナルなデザインとして評価を受けたであろう。  



一応そういう事なんだけど、実際に遠目に見た時には実はがっかりした。 各階のやや末広がりのデザインは、屋根が連続しているようなイメージを醸し出す。 しかし、これに似たど〜しようもないマンションのデザインがあるものだから、 それが先にイメージされてしまって、貧弱な印象にしかならないのだ。 「こんなバカな筈はない‥」と思って竣工当時の写真を見ると、やっぱり‥。 竣工時はこの末広がりの庇が打ち放しコンクリートであって、塗装はされていなかった。 塗装しちゃったから、イメージが狂いまくっている。 ロビー内部は木と白い暖色系の壁を組み合わせていて、落ち着きを感じさせる。 作られてから日が経っているが、いつ行っても変わらない味、みたいなものを醸し出している。  



 
   
 



  最後に設計者について、松隈洋の文章を引用する。 「学生時代に遠藤新に学び、オランダの建築家デュドックに憧れた浦辺(慎太郎)は、 故郷倉敷のデュドックとなるべく地元の倉敷レイヨンに入社。 営繕技師として28年務めた後、建築家として独立する。 そして、隣接する大原美術館分館に続いて「フランスの田舎にあるようなホテル」 をとの願いの下に手掛けたのがこの倉敷国際ホテルである。 (『建築とまちづくり』1996年)」。





掲載誌:新6402
所在地:岡山県倉敷市@@@
行き方:倉敷美観地区の西端
ここでの分類:戦後近代、モダニズム
訪問年月日:02/10/3
参考:『現代建築の軌跡』新建築1995年12月臨時増刊、新建築社,「建築とまちづくり」建築とまちづくり編集委員会
その他情報:@@@




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