倉敷市芸文館 (@@@)
設計:浦辺設計


倉敷をイメージさせるディテールがちりばめられた文化施設



このHPでは倉敷市の美観地区と周辺の建物をいくつか紹介しているが、 それらは全て浦辺設計であり、美観地区はあたかも浦辺設計がシマを張っている。 その中でも芸文館はかなり大きくて、浦辺設計が基本設計から全てを担当した作品である。 私達は最初にホールの裏側から見た。 背の高い部分、多分ホールであろう、これは四角い箱の上四隅を削ってならした格好をしている。 この切り落とす度合いが微妙である。 これ以上大きく切り落としたら、和風屋根の品の無いハリボテに見えてしまう。 これ以上切り口が小さかったら、単なるRCビルのハコになってしまう。 どっちでもないですよ〜とメッセージを発しているのだ。  



 
   
 



  この建物、どこから見ても、見た目を楽しませるようなディテールの嵐である。 浦辺設計は倉敷で建物・環境を作り続けたから、 ナマコ壁だの倉敷町家だのから借用したモダンデザインを貯め込んでいる。 それを一気に吐き出したような饒舌さがある。 この作品は、現代建築で「和風」をイメージすることの意味を模索したものと言えよう。 その「和風」からの引用は直接的ではなくて、 モダンな建築言語の中からチラチラ見え隠れするようなものだ。 つまり直接的で品のないハリボテと揶揄される事を避けようとしている。 しかし表層的な建築言語(凝ったディテール)が多すぎて、 肝心の建物の「骨」みたいなものが見えてこない印象がある。



  どうせRCとかSRCでやるんだったら、 禁欲的でディテールを削ったモダニズムのほうが、構造表現的な良さが分かりやすい。 そういう流れの中で「和風」を追求した方が、建物としては納得性があったかもしれない。 そういう反省があったかどうか知らないけど、 JR二条駅(新9612)を作った時には表層いじりではなく、 屋根の架構を独自なものにして、構造から醸し出される雰囲気で勝負しようとしている。 まぁ確かに、「和風」と現代建築技術の接点というのは、 難しすぎて私にはまだとらえどころがない感じがする。





掲載誌:新9404
所在地:岡山県倉敷市中央1-18-1
行き方:倉敷美観地区の南端
ここでの分類:現代
訪問年月日:02/10/3
参考: 
その他情報:@@@




tate_aji




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