ビッグハート出雲 (1999)
設計:小嶋一浩+小泉雅生/C+A


公民館での人の<活動>をそのまま建築化した
自動開閉するルーバー。呼吸する建物



正面から見ても裏から見ても、この建物は形の良さとか格好とか、そういうものによって 設計していないことが一目瞭然である。しかし、入口手前にある文化教室を覗いただけで、 この建物が何を狙いとしているのか、何となく分かる。 そこは白っぽしい部屋で、白っぽしい什器が置いてある<だけ>であった。 そう、ただそれだけ。でもそれが言いたいことなのだ。 それは何か?「アクティビティ」である。アクティビティが見えてくる建築。 建築が「従」で、中で行われる行為が「主」であるような建築、 あるいは建築が「地」でアクティビティが「図」になる建築。それが狙いだ。  



平面は単純なので、そんなに注意して平面図を見なかった。 でも小嶋一浩は白のアクティビティ黒のアクティビティとか、 平面を活動に基づいて配置してゆく事で知られている。 どうせシンプルな平面に過ぎないのに、なぜか人の動きを検討しつくした空間が持つような、 そんな空間の質が感じられた。 その質は、見えるものとしてこの建物のサイン計画に良く現れている。 「厠」「食」「控」「茶」「白」「黒」などなど、ドアにで〜っかく書いてある。 これは、この建物がなろうとしているメタファーが何であるか、よく示している。 建物は、人々のアクティビティそのもののメタファーになろうとしているのだ。  



 
   
 



  そして建物は、その中の人々のアクティビティの総体として、自分でも「息」をし始める。 その息あるいは建物の「新陳代謝」。 そういうメタファーに最もふさわしいのが、窓に付いた自動開閉ルーバーだ。 この建物の外皮は呼吸する。 雑誌にはこのルーバーばかり採り上げられるけど、 設計者の気持ちとしてはまず上述の<メタファー>があって、 建物のあらゆる面をそれにふさわしくした結果として、あのルーバーがあるのだ。 ルーバーだけ褒めても、 それは<建築>を作ろうとする設計者の狙いを褒めた事にはならないであろう。





掲載誌:新0003/JA40/GA-JPN43
所在地:島根県出雲市@@@@
行き方:JR「出雲市」駅の南口を出てすぐ東
ここでの分類:現代お奨め
訪問年月日:02/10/1
参考: 
その他情報:@@@




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